はじめに
この講座では、Pythonというプログラミング言語と、高性能なAIであるGoogle AI Studio(Gemini)を組み合わせて、動画編集における面倒な「間」のカット作業を効率化する方法を学んでいきます。
この記事はその第一歩として、必要なツール「Python」「FFmpeg」、そして動画編集ライブラリ「moviepy バージョン 1.0.3」をあなたのWindowsパソコンに導入する手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。また、今回のワークフローで重要な役割を担う「Google AI Studio」についても触れます。
ステップ1:Pythonをインストールしよう
まず、プログラミング言語Pythonがパソコンにインストールされていない場合は、導入が必要です。すでにPython 3.8以上がインストールされている場合は、ステップ2に進んでください。
- Python公式サイトへアクセス:ウェブブラウザでPythonの公式サイト
https://www.python.org/
を開きます。 - インストーラーのダウンロード:「Downloads」メニューから、Windows向けの最新安定版インストーラー(
Download Python 3.x.x
のようなボタン)をクリックしてダウンロードします。(3.8以上のバージョンであれば問題ありませんが、特に理由がなければ最新安定版を推奨します) - インストール実行:ダウンロードしたインストーラー(
.exe
ファイル)を実行します。- 【重要】インストーラーの最初の画面で、必ず「Add Python 3.x to PATH」または「Add python.exe to PATH」のチェックボックスにチェックを入れてください。これにより、コマンドプロンプトやPowerShellから簡単にPythonを呼び出せるようになります。
- 「Install Now」をクリックしてインストールを開始します。(「Customize installation」でインストール場所を変更することも可能です)
- インストールが完了するまで待ちます。
- インストールの確認:PowerShellを開き、
python --version
と入力してEnterキーを押します。「Python 3.x.x」のようにバージョンが表示されれば、インストールは成功です。
ステップ2:FFmpegが使えるか確認しよう
次に、動画処理の裏方として活躍するFFmpegが使えるか確認します。すでに使える状態ならステップ4に進んでください。
- PowerShellを開く:(すでに開いていればそのままでOK)
- 確認コマンドを実行:
ffmpeg -version
と入力し、Enterキーを押します。 - 結果の見方:
- OKな場合:バージョン情報が表示されればOKです。ステップ4に進みます。
- NGな場合:エラーメッセージが表示されたら、次のステップ3でFFmpegを導入します。
ステップ3:FFmpegを導入しよう(エラーが出た場合)
エラーが出た場合は、以下の手順でFFmpegを導入します。
- 公式サイトからダウンロード:
https://ffmpeg.org/download.html
を開きます。- Windowsロゴ下の「Windows builds from gyan.dev」をクリック。
- 「release builds」セクションの
ffmpeg-release-essentials.zip
をダウンロード。
- ファイルを配置:
- ダウンロードした
.zip
ファイルを解凍します。 - 解凍後のフォルダ(例:
ffmpeg-7.1.1-essentials_build
)を分かりやすい場所(例:C:\
直下)に移動し、フォルダ名をffmpeg
に変更します。(パス:C:\ffmpeg
) C:\ffmpeg\bin
フォルダ内にffmpeg.exe
があることを確認します。
- ダウンロードした
- 環境変数Pathを設定:
- Windows検索で「環境変数」と入力し、「システム環境変数の編集」を開きます。
- 「環境変数」ボタンをクリック。
- 「ユーザー環境変数」欄の「Path」を選択し、「編集」ボタンをクリック。
- 「新規」ボタンをクリックし、
C:\ffmpeg\bin
と入力します。(配置場所が違う場合はそのパスを入力) - 「OK」を3回クリックして閉じます。
- PowerShellを再起動して再確認:
- 開いていたPowerShellは一度閉じ、新しいPowerShellを開きます。
- 再度
ffmpeg -version
を実行し、バージョン情報が表示されれば導入完了です。
ステップ4:Pythonの「仮想環境」を準備しよう
次に、今回のプロジェクト専用のPython環境(仮想環境)を作ります。
これは、他のPythonプロジェクト(Stable Diffusionなど)と環境が混ざらないようにするために非常に重要です。
- 作業フォルダを作る:エクスプローラーで、分かりやすい場所(例:Dドライブ直下)に
okihiro_cutter
という名前のフォルダを作ります。 - PowerShellで作業フォルダに移動:PowerShellを開き、以下のコマンドで今作ったフォルダの中に移動します。
cd D:\okihiro_cutter
(パスは実際に作成した場所に合わせてください) - 仮想環境フォルダを作る:以下のコマンドを実行して、仮想環境の実体となる
.venv
フォルダを作ります。(Python 3.10での実行を推奨します)python -m venv .venv
- 仮想環境を有効にする:以下のコマンドを実行します。
.\.venv\Scripts\activate.ps1
プロンプトの先頭に(.venv)
という表示が追加されれば成功です。もしここでエラーが出る場合は、記事末尾のトラブルシューティングを参照してください。
ステップ5:moviepy(v1.0.3)をインストールしよう
仮想環境が有効な状態で、moviepyをインストールします。
重要:このワークフローでは、MoviePyのバージョン1.0.3を使用します。これまでのテストでこのバージョンでの安定動作を確認しているためです。
- pipをアップグレード(推奨):まず、パッケージ管理ツールpipを最新版にしておきましょう。
python -m pip install --upgrade pip
- moviepy v1.0.3をインストール:PowerShellで以下のコマンドを実行します。バージョンを
==1.0.3
と明示的に指定してください。pip install moviepy==1.0.3
- 完了を確認:エラーが出ずに「Successfully installed moviepy-1.0.3 ・・・」のようなメッセージが表示されれば、インストールは成功です!
ステップ6:Google AI Studioの準備
今回のワークフローでは、高性能なAIであるGoogle AI Studio(Gemini)を使用して、文字起こしと句読点付与を行います。これはWebブラウザ上で利用するサービスです。
- アクセス:ウェブブラウザでGoogle AI Studio(
https://aistudio.google.com/
)にアクセスします。 - ログイン:Googleアカウントでログインします。(アカウントがない場合は作成してください)
- 使い方(概要):基本的な使い方は、プロンプト(指示文)を入力し、AIに応答を生成させる形式です。今回のワークフローでは、後ほど提供する専用の指示文(System Instructions)を設定し、音声データと無音区間情報を基にSRTファイルを生成させる作業を行います。(詳細は別記事で解説します)
現時点では、Google AI Studioにアクセスしてログインできることを確認しておけば大丈夫です。
準備完了!
お疲れ様でした!これで、Python、FFmpeg、moviepy v1.0.3のインストールと、Google AI Studioへのアクセス準備が整いました。
作業が終わったら、PowerShellでdeactivate
と入力すれば、仮想環境を無効にできます。
トラブルシューティング:仮想環境有効化エラー
ステップ4-4で.\.venv\Scripts\activate.ps1
を実行した際に、「・・・スクリプトの実行がシステムで無効になっているため・・・」のようなエラーが出る場合があります。これはWindowsのセキュリティ設定によるものです。
その場合は、以下のコマンドを実行して、現在のPowerShellセッションでのみスクリプト実行を許可してから、再度有効化コマンドを実行してください。
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process
確認メッセージが出たらYを入力してEnterを押します。この設定はPowerShellを閉じると元に戻ります。
次のステップ
必要なツールと環境の準備ができました。次のステップでは、いよいよPythonスクリプトとGoogle AI Studioを使って、動画の不要な「間」を効率的にカットしていく具体的な手順を見ていきましょう!
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