はじめに
この講座では、Python というプログラミング言語とAI(Gemini)を使って、動画編集における面倒なカット作業を自動化する方法を学んでいきます。
この記事はその第一歩として、必要なツール「FFmpeg」と、安定動作が確認されている「moviepy バージョン 1.0.3」をあなたの Windows パソコンに導入する手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
なぜ FFmpeg が必要なの?
動画編集用の Python ライブラリ(便利な道具セット)である moviepy は、動画ファイルを読み込んだり、編集結果を書き出したりする際に、「FFmpeg」という別の強力な動画処理ツールを内部で利用します。
そのため、moviepy を使うためには、あらかじめパソコンに FFmpeg が入っていて、いつでも呼び出せる状態になっている必要があるのです。
ステップ1:FFmpeg が使えるか確認しよう
まずは、あなたのパソコンに FFmpeg がすでに入っていて、使える状態になっているかを確認しましょう。
- PowerShellを開く:Windows の検索バーで「PowerShell」と検索し、「Windows PowerShell」を開きます。黒い画面が表示されます。
- 確認コマンドを実行:PowerShell の画面で、以下の文字をそのまま入力し、Enter キーを押します。
ffmpeg -version
- 結果の見方:
- OKな場合:ffmpeg version ・・・ のように、バージョン情報がたくさん表示されれば、FFmpeg はすでに使える状態です。ステップ3に進んでください。
- NGな場合:「用語 'ffmpeg' は・・・認識されません。」のようなエラーメッセージが表示された場合は、FFmpeg が入っていないか、見つけられない状態です。次のステップ2に進んで FFmpeg を導入しましょう。
ステップ2:FFmpeg を導入しよう (エラーが出た場合)
エラーが出た場合は、以下の手順で FFmpeg を導入します。
- 公式サイトからダウンロード:
- ウェブブラウザで FFmpeg の公式サイトのダウンロードページを開きます。https://ffmpeg.org/download.html
- ページの中ほどにある Windows のロゴマークの下の「Windows builds from gyan.dev」というリンクをクリックします。
- 移動したページの「release builds」セクションにある、ffmpeg-release-essentials.zip という名前のリンクをクリックして、ファイルをダウンロードします。(ファイルサイズが比較的小さい方です)
- ファイルを好きな場所に置く:
- ダウンロードした .zip ファイルを右クリックし、「すべて展開」などを選んで解凍します。
- 解凍してできたフォルダ(例:ffmpeg-7.1.1-essentials_build)を、分かりやすい場所に移動し、名前を短く変更しましょう。ここでは例として、Cドライブの直下に移動し、フォルダ名を ffmpeg に変更します。(Cドライブに ffmpeg というフォルダができた状態)
- 重要:この Cドライブの ffmpeg フォルダの中に bin というフォルダがあり、さらにその中に ffmpeg.exe というファイルがあることを確認してください。
- 大事な設定:環境変数 Path を通す:パソコンに「ffmpeg.exe は Cドライブの ffmpeg フォルダの bin の中にありますよ」と教えてあげる設定です。
- Windows の検索バーで「環境変数」と入力し、「システム環境変数の編集」を開きます。
- 表示されたウィンドウの下の方にある「環境変数(N)・・・」ボタンをクリックします。
- 「(あなたのユーザー名)のユーザー環境変数(U)」の枠内にある Path という行を探して選択(クリック)し、「編集(E)・・・」ボタンをクリックします。
- 新しいウィンドウが開くので、右側にある「新規(N)」ボタンをクリックします。
- リストの一番下に新しい空欄ができるので、そこに先ほど確認した bin フォルダの場所(フルパス)を入力します。今回の例では C:\ffmpeg\bin です。
- 入力したら、「OK」ボタンを3回クリックして、開いたウィンドウをすべて閉じます。
- PowerShell を再起動して再確認:
- 重要:先ほど開いた PowerShell のウィンドウは一度閉じます。
- 新しいPowerShell のウィンドウを開き、もう一度確認コマンドを実行します。
ffmpeg -version
- 今度こそ、ffmpeg version ・・・ というバージョン情報が表示されるはずです。これで FFmpeg の導入は完了です!
ステップ3:Python の「仮想環境」を準備しよう
次に、今回の動画編集プロジェクト専用の Python 環境(仮想環境)を作ります。
これは、他の Python プロジェクト(Stable Diffusion など)と環境が混ざらないようにするために非常に重要です。
- 作業フォルダを作る:動画編集用のプログラムなどをまとめておくフォルダを、分かりやすい場所に作りましょう。ここでは例として、Cドライブ直下に MoviePy_Project という名前のフォルダを作ります。(エクスプローラーでCドライブを開き、右クリック → 新規作成 → フォルダー で作成)
- PowerShell で作業フォルダに移動:PowerShell を開き、以下のコマンドで今作ったフォルダの中に移動します。
cd C:\MoviePy_Project
(プロンプトの表示が PS C:\MoviePy_Project> のように変わります) - 仮想環境フォルダを作る:以下のコマンドを実行して、仮想環境の実体となる .venv フォルダを作ります。(Python 3.10 での実行を推奨します)
python -m venv .venv
(エクスプローラーで MoviePy_Project フォルダの中に .venv フォルダができていることを確認) - 仮想環境を有効にする:これから使う道具をこの仮想環境に入れるように、仮想環境を有効にします。以下のコマンドを実行します。
.\.venv\Scripts\activate.ps1
(プロンプトの先頭に (.venv) という表示が追加されれば成功です。もしここでエラーが出る場合は、記事末尾のトラブルシューティングを参照してください。)
ステップ4:moviepy (v1.0.3) をインストールしよう
仮想環境が有効な状態で、いよいよ moviepy をインストールします。
重要:Moviepy はバージョン 2.x 系で大きな変更があり、互換性の問題や予期せぬエラーが発生することが報告されています。この講座では、比較的安定して動作することが確認されている バージョン 1.0.3 を使用します。
- pip をアップグレード (推奨):まず、パッケージ管理ツール pip を最新版にしておきましょう。
python -m pip install --upgrade pip
- moviepy v1.0.3 をインストール:PowerShell で以下のコマンドを実行します。バージョンを ==1.0.3 と明示的に指定してください。
pip install moviepy==1.0.3
(必要なファイルがダウンロードされ、インストールが始まります。少し待ちます) - 完了を確認:エラーが出ずに「Successfully installed moviepy-1.0.3 ・・・」のようなメッセージが表示されれば、インストールは成功です!
準備完了!
お疲れ様でした!これで、Python を使って動画を自動編集するための基本的なツール(FFmpeg と moviepy v1.0.3)の準備が整いました。
作業が終わったら、PowerShell で deactivate
と入力すれば、仮想環境を無効にできます。
トラブルシューティング:仮想環境有効化エラー
ステップ3-4で .\.venv\Scripts\activate.ps1 を実行した際に、「・・・スクリプトの実行がシステムで無効になっているため・・・」のようなエラーが出る場合があります。これはWindowsのセキュリティ設定によるものです。
その場合は、以下のコマンドを実行して、現在のPowerShellセッションでのみスクリプト実行を許可してから、再度有効化コマンドを実行してください。
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process
確認メッセージが出たら Y を入力して Enter を押します。この設定はPowerShellを閉じると元に戻ります。
次のステップ
基本的なツールの準備ができましたね。次の記事では、いよいよPythonスクリプトを使って、動画の無音部分を自動でカットする方法を見ていきましょう!
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