「DNA」を抽出・生成せよ
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1. Google Pomelliとは? - ブランドの一貫性をAIが担保する
AIアーキテクトのOKIHIROです。今回は、Google LabsがDeepMindと共同開発した実験的AIツール「Pomelli」について技術的な視点から解説します。
これまで、企業がAIでコンテンツを生成する際の最大の課題は「ブランドの一貫性(Consistency)」でした。ChatGPTやMidjourneyに毎回プロンプトでトーン&マナーを指示するのは、工数的にも精度的にも限界があります。
Pomelliはこの問題を「Business DNA」という概念で解決します。WebサイトのURLを入力するだけで、以下の要素を自動解析・抽出します。
- ビジュアルアイデンティティ: 配色(Hexコード)、フォント、ロゴ
- トーン&マナー: 文章の語り口(例:プロフェッショナル、フレンドリー、権威的)
- コアバリュー: ブランドが重視する価値観
技術的には、これは「自動化されたコンテキストエンジニアリング」と言えます。RAG(検索拡張生成)のように外部知識(Webサイト)を取り込み、生成モデルの推論コンテキストとして固定化することで、出力される画像やテキストが常に「そのブランドらしい」ものになる仕組みです。
2. 必要な準備と前提条件
Pomelliは現在、Google Labsの実験的プロジェクトとして提供されています。2026年1月現在、以下の条件で使用可能です。
- Googleアカウント: 必須
- 提供地域: 米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(日本からのアクセスにはVPN等のネットワーク設定が必要な場合があります)
- 対象言語: 英語(日本語コンテンツの生成も可能ですが、UIは英語です)
特に重要なのが、2025年12月に実施された大型アップデートです。これにより、単なるテキスト案だけでなく、ブランドカラーを反映した画像生成や、Googleの動画生成AIモデル「Veo」とのパイプライン連携が可能になりました。
3. 実践:Business DNAから動画広告を生成する
では、実際にWebサイトからマーケティング素材を生成するフローを解説します。アーキテクト視点では、これを「入力(URL)→処理(DNA抽出・生成)→出力(マルチモーダルアセット)」のパイプラインとして捉えます。
Step 1: Business DNAの生成
まず、Pomelliのインターフェースに解析したいビジネスのURL(例: https://www.example.com)を入力します。
数分間のクロールと解析の後、ダッシュボードに「Business DNA」が表示されます。ここで抽出されたカラーパレットやフォントは、後続のすべての生成プロセスにおける「拘束条件」として機能します。AIが勝手に青いブランドを赤くしたりしないよう、システムレベルで制御されるわけです。
Step 2: キャンペーンの設計とアセット生成
次に、キャンペーンの目的(例: "New Year Sale")を入力するか、AIからの提案を選択します。PomelliはDNAに基づき、以下の3種類のアセットを生成します。
- Social Posts: InstagramやLinkedIn用の画像とキャプション
- Ad Creatives: Facebook広告などのバナー
- Short Videos: Veoモデルを使用した動画クリエイティブ
特筆すべきは、生成された画像がそのままGoogleの動画生成モデル「Veo」の入力として使用できる点です。静止画(Image-to-Video)として処理され、ブランドの世界観を保ったまま動的なコンテンツへと変換されます。
4. Pythonによるアセット管理の自動化
Pomelliは強力ですが、生成された大量のアセット(画像、動画、テキスト)の管理は手動になりがちです。私たちエンジニアは、ここを自動化しましょう。
以下は、ダウンロードした大量のアセットを、キャンペーン名と日付に基づいて自動的にフォルダ分けするPythonスクリプトの例です。実務では、これをGoogle Drive APIと連携させるとさらに効率的です。
import os
import shutil
from datetime import datetime
# 設定: ダウンロードフォルダと整理先
DOWNLOAD_DIR = './downloads'
TARGET_DIR = './organized_campaigns'
def organize_assets():
# 今日の日付でフォルダ作成
today = datetime.now().strftime('%Y-%m-%d')
base_path = os.path.join(TARGET_DIR, today)
if not os.path.exists(base_path):
os.makedirs(base_path)
# ファイル拡張子ごとの振り分けルール
extensions = {
'images': ['.jpg', '.png', '.webp'],
'videos': ['.mp4', '.mov'],
'text': ['.txt', '.md']
}
for filename in os.listdir(DOWNLOAD_DIR):
src_file = os.path.join(DOWNLOAD_DIR, filename)
if not os.path.isfile(src_file):
continue
# 拡張子を取得
_, ext = os.path.splitext(filename)
ext = ext.lower()
# 適切なフォルダへ移動
for folder_name, valid_exts in extensions.items():
if ext in valid_exts:
dest_folder = os.path.join(base_path, folder_name)
if not os.path.exists(dest_folder):
os.makedirs(dest_folder)
shutil.move(src_file, os.path.join(dest_folder, filename))
print(f"Moved: {filename} -> {folder_name}")
if __name__ == "__main__":
print("Starting asset organization...")
organize_assets()
print("Done! ✅")このスクリプトを使えば、Pomelliで生成・ダウンロードした数十枚の画像を瞬時に「images」「videos」フォルダへ整理できます。クリエイティブ作業に集中するための、エンジニアらしい「守りの自動化」ですね💡
5. 技術的考察とまとめ
Pomelliの本質は、「ブランドコンテキストの永続化」にあります。一度抽出したDNAをデータベース化し、それをあらゆる生成タスクのSeed(種)として利用するアプローチは、今後の企業向けAI活用のスタンダードになるでしょう。
- メリット: デザインスキルがなくても、プロ級の統一感が出せる。
- 注意点: 生成された内容は必ず人間がキュレーション(選別・修正)する必要があります。AIは「正解」ではなく「候補」を出すツールだからです。
私たち開発者にとっては、このようなNo-Codeツールがどのようなロジックで動いているかを理解し、APIやスクリプトでその前後を補完する「システム全体設計」の能力が求められています。ぜひ、あなたのワークフローにも取り入れてみてください🚀
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